初夏のコトブキヤ・ガール系キット祭りの最後を締めくくるのは、約3年前に発売され、個人的にはFAGの一つの転換点になったと思っているバーゼラルドのバリエーションキット、ゼルフィカールです。 単体のFAGとしては最大級のボリュームとなり、箱のサイズも同時期に発売されたCFG ガオガイガーと一緒です。 単なるパーツの追加に留まらず、本体にも改修が施されているということで、実質的なバーゼラルドのVer.2と思って期待したのですが、果たして…… それでは、早々にレビューに移ります。 キットは素組みに一部塗装と艶消しトップコートでの仕上げです。 素体モード あとは成型色の変更のみで、ほとんどのパーツが流用。 頭部では頭頂部のメカユニットやメカウサ耳が大型化されたほか、バーゼでは一体化していた後ろ髪が4本の房状に分割され、それぞれが定番の球体ジョイントで自由に可動するようになっています。 胸と肩のアーマーパーツも大型化。 この状態では素肌とメカパーツ、ハイヒールを除いた髪と衣装部分に艶消しトップコートを吹きました。 また、色の足りない部分は設定とは違いますが、メタリックブルーで塗装しています。設定色の調色が面倒臭かったので(正直)。 なお、頭頂部中央のセンサー部分と胸部パーツの衣装部分はパーツ段階で塗装済みです。 いつも通り3種の表情パーツが付属。FAGにしてはけっこうはっちゃけたラインナップとなっております。 でも、通常顔は正面向きにしてほしかったかな。パッケージイラストが真正面を向いてますしね。 見下し顔については、そうと言われないとどういう表情なのかよくわかりませんね。まぁ、そこはかとなくむかつく顔ではあります(笑)。ただ、全体の雰囲気とはあまり合ってないかなぁ。 泣き顔はアリだとは思うんですが、これもせっかくの涙がけっこう近寄らないとそれと認識しづらいのが惜しい。 総じて、なんとも微妙な感じではあります。 まぁいいや、状況によってはバーゼラルドの表情パーツと交換すればいいし、と思ったんですが…… FAGの表情パーツの基本型はずっと同じだと思っていたので、ちょっとびっくり。 今度ほかのコたちのパーツもあらためて見較べてみよう。 武装モード 前面
武装・ギミック セグメントライフル 新たに銃身下部に展開式のブレードが装備され、近接戦闘にも対応。 余剰扱いですがマガジンパーツも付属するので、バーゼラルド仕様のスタンダードなライフルとして組むことも可能です。 ガール本体のハンドパーツのほか、サブアームのメカハンドにも持たせることはできますが、その場合は固定できないため、けっこう簡単にすっぽ抜けます。 スラストアーマー スラストアーマー Type-G & Typr-S FAG ゼルフィカールではType-Gを脛側面外側とサブアームの両肩前面に、Type-Sを腰のブースターポッドと後部追加ブースター側面に装着するのがデフォルトになります。 接続軸はアーマー側でボール可動するので、ある程度の角度変更も可能です。 ブラストシールド 試作型光波射出器 保持はサブアームのメカハンドのほか、本体のハンドパーツでも可能。一応、専用も持ち手を使うよう指示がありますが、別にどの持ち手でも持てます。 なお、これと次の攻性防盾システムはランナー自体まるまる本家FAのNEからの流用になります。 攻性防盾システム しかし、なぜか今回その部分には触れられず、ゆえにリード線も付属しませんし、射出状態でのディスプレイ用のアタチメントも余剰扱いになっています。 なんでこのギミックオミットされたんだろう? リード線1本で価格が跳ね上げるとも思えないし、単純に忘れてたんだろうか? バーニアとクローをシルバーで、本来ブルーグレーの部分をメタリックブルーで塗装しました。 ウエポンハンド いや、そこまでするなら攻性防盾のバーニアもクリームイエローのランナーに足しといてほしかったなぁ。 あと右手のマシンガンのほう、向きが逆でした…… 比較画像 上半身に至ってはまったく手が加わっておらず、このテのバリエキットでよくある胸部のボリュームアップなどもありません(笑)。 まぁ、このスタイルにはこれくらいがちょうどいい、とは思いますが。 以下、イメージカット 可動性能は最新のキットと較べるとどうしても見劣りします。 肩はボールジョイント接続ですが、バーゼラルドから構造に変化はなく、胸部パーツで挟み込むかたちのため自由度は低く、しかもかなり固いです。 上腕のロール軸もやけに固く、FAGでありがちな肩と上腕の間のリングパーツが動いて位置が定まらないなんてことはなく、むしろギチギチ。 胸部と腹部のダブルビールジョイントによる接続ももちろんそのままで、可動は若干反れる程度。 また、胸部側のジョイント受けが緩いのか、とにかく抜けやすいです。 武装モードで頭を持って持ち上げたら上半身だけすっぽ抜けて、武装込みの下半身が落下しました。 まぁ、それはそんな持ち方をするほうも悪いんですが。 腰は引き出すことでわずかに前方に可動。 唯一の変更点が股関節のロール軸の追加ですが、確かにバーゼラルドと較べて脚部の可動範囲は若干拡がりはしましたが、正直目に見えるほどの変化ではありません。 バーゼラルドのVer.2を期待していた身としては、ちょっと肩透かしを食らったような気持ちです。 サブアームユニットは腰裏のハードポイント1箇所に接続するため、本体の可動に直接制限がかかることはありません。ただ干渉物が増えるので、実際にはけっこう制限されることになります。 バーゼラルドの段階でそこそこ不自由だったので、オプションが増えたセルフィカールではなおさらです。 こうなるともう、ぶっちゃけ本体がどれだけ動けようがあまり意味がないという気もします。そう思うと、あれくらいの可動でも十分なのか…… サブアームは自体は肩部分でロール可動、肘部分で90度ほど動くくらいですが、メインフレームと接続するアーム(ややこしいな)がけっこう自由に動くので、大きく後方に開いたり、横向きに水平近くまで持ち上げることも可能。 ただ全体に可動部が緩く、オプションの重量も相まってへたり気味。まぁ、これはバーゼラルドの時点でそうだったので、ある程度予想はしていましたが。今後のことも考えるとなんらかの調整はしておくべきかなと思います。 とくに手首の接続はゆるゆるで、なにも手を加えずに光波射出器などの長ものを持たせるとくるんとひっくり返ってしまうほど。 攻性防盾システムの射出状態の再現には、NEからリード線を拝借しました。 お馴染みの3㎜支柱の簡易スタンドは、さすがに今回のこの重量は支えきれないということで付属せず、代わりに可動軸を備えた専用スタンドが付属します。 ただこのスタンド、強度は申し分ないんですがベースとの接続分で角度が付けられないので、はっきり言って使いづらい。 ポロリの不安はほとんどありませんが、唯一、腰ブースターポッド下のアーマーパーツ……デフォルトでスラストアーマーType-Sを取り付けるブラウンのパーツは少し外れやすいので、接着してしまうのがいいと思います。 で、ついついやってみたくなるのが、武装パーツのみを使ったオリジナル支援機の組み立て。 過去にこのブログでもFAG グライフェンやメガミ SOL ラプターでやりましたが、今回はかなりお手軽に、サブアームユニットの構成はほぼそのまま、スラストアーマー等の機動装備の向きを揃えたくらいでわりとまとまった感じです。 あとはちょっと寂しかった底面にブラストアーマーの基部と、本体の脚部から外したスラストアーマーTtpe-Gを取り付けて完成。 一応、前後の向きは決めてありますが、どっちが前でも成立しそう。 本当なら、サブアームの右側には光波射出器の射撃モードを持たせたかったんですが。角度が合わないので右のみウエポンハンドと交換。イメージ的にはデンドロビウムだったんですけどね。 以上、“FAG ゼルフィカール” でした。 FAG史上最大級のボリュームは作り応えがあり、完成後も豊富なオプションを自由な発想で組み替えることでいろいろと楽しめるアイテムになっていると思います。 ただ、FAG バーゼラルドやFA ゼルフィカール/NEからの流用パーツが多く、新規造型のスラストアーマー2種にしてもFA ゼルフィカーつとほぼ同じデザイン、パーツ構成になっており、過去にそれらを作ったことのある人にとってはあまり新鮮味は感じられなかったかもしれません。 なにより、期待していた素体部分のブラッシュアップは股関節のみに留まり、轟雷→轟雷改Ver.2ほどの進化がなかったことは残念です。 まぁ、そこはこっちが勝手に期待し過ぎたという部分もありますが。 もともとの造型レベルは文句なく、稼働も最新のFAGに較べれば多少劣るという程度なので、トータルクオリティに不満はないんですが。 過去に関連キットにどれだけ触れているかによって大きく印象の変わるアイテム、といえるかなぁ。 僕は、FAG バーゼラルドは、それまで1形態しか持たなかったFAGに “ほぼメカ要素のない素体に武装パーツを追加して形態変化させる” という新しい概念を与えたエポックメインキングなアイテムだと思っています。 第1弾の轟雷からスティレット、アーキテクトといったガールたちは、アーマーパーツを纏った状態がデフォルトで、基本的にそれを脱ぐことはできませんでしたが、バーゼラルドの発売以降、フレズヴェルクやグライフェンなど、素体モードから武装モードに組み替えられるアイテムが増え、一方でマテリア、イノセンティア、レティシアと言ったもはやモチーフとしてのFAもなく、端から素体として開発され、アレンジは個々のユーザーに委ねるようなアイテムのリリースも続いています。メガミデバイスもまた、そういった過程のなかから新たに生まれたシリーズといえましょう。 バーゼラルドの発売がFAG……ひいては昨今のガール系キット隆盛の礎を築いた……といっても過言ではないのではないか? だからこそ、そのバリエーションであるゼルフィカールにも、相応の期待をしてしまったわけですが。 う~む……まぁ、スラストアーマー2種まで流用じゃなかっただけでもよしとするところかなぁ。 バーゼラルドについてはアニメ版設定に準じたミニサイズボディVer.が開発中ということですが、途中経過があまり聞こえてこないということは、そこそこ難航しているのかもしれません。 4頭身くらいのボディなら、シルフィーで一応成功しているので、そんなに難しいようには思えないんですが……なにかこだわりがあるんだろうな。 ゼルフィカールは、そのミニサイズボディ完成を待ってからでもよかった気もする一方で、この重武装、そしてなによりこのカラーリングはロリ……もとい、ミニボディにはイマイチ合わないか? とも思い、複雑です。 ただこのFAG ゼルフィカールの発売直後に早くもカラバリ+一部仕様変更のSTが発表され、予約も解禁されています。 つまるところ、この黒ゼルフィが予約段階で相当売れたということなんでしょう。黒バニーの需要の高さが窺えます(笑)。 でも、個人的には白バニーのほうが好みなんだよなぁ。表情も今回の見下し顔より新規の目閉じ笑顔のほうが可愛いし、武装も新規造型っぽいし……光波射出器と攻性防盾もオリジナルを持ってたわけで、これは早まったか? といったところで、今回は終了。 またのご訪問を。
2 コメント
natty
21/7/2020 22:07:53
初コメ失礼します。
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退屈と惰性と
22/7/2020 17:34:23
コメントありがとうございます。
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