まず前提として。 ガンダムWの5機のガンダムには、TV版とOVA版(Endless Waltz版、略してEW版)があります。 TV版のメカニックデザインは御大大河原邦男氏。対するEW版はカトキハジメ氏がデザインしたものです。 姿形が随分変わっていますが、これらは同一の機体ということになっています。 要するに、TVからOVAに移るにあたり、キャラクターも含めたデザインの見直しが図られたということなのでしょう。 大河原デザインがどうということではなく…… 当時、TVシリーズが終わってOVAが始まったとき、とくになんの説明もなく5機のガンダムのデザインが変わっていたため、世間は混乱しました。 “ウイングガンダムゼロカスタム” など、EW版の機体に “~カスタム” を付けて表記したことなども、その混乱に拍車をかけたように思います。 実際、僕も当時はEW版の機体はTV版からもういっちょ改修された機体だと思ってましたよ。 現在はそのあたりの事情の認知度も高まり、 “~カスタム” 表記もなくなって、代わりに(EW)を付けてTV版とEW版を区別するようになっています。 ガンダムWではTVシリーズの後半で5機のガンダムは改修され、パワーアップ(ウイングガンダムだけはより高性能の試作機への乗り換え)するのですが、EWで活躍するのはその改修後の機体です。 一方で改修前の機体についてもカトキハジメデザインのものが存在し、これらは俗に “アーリータイプ” と呼ばれています。 つまるところ、ガンダムWの主役ガンダム五機には、前半機TV版、後半機TV版、前半機EW版(アーリータイプ)、後半機EW版の4種類があると思っていただければ特に不都合はないかと。 さて、これらのガンダムたち、MGとしてはEWのさらなる続編となる小説 “新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop” の連載と平行するかたちで2010年から12年にかけてアーリータイプを中心にリリースされました。 その一連の流れでデスサイズヘル(EW)も発売されたため、多くのファンは当然ほかの三機も近く発売されるもの(ウイングガンダムゼロ(EW)はもっとずっと以前に単独でリリース済み。ただしフォーマットはほかの4機とまったく違う……)と思っていたはずです。 それが蓋を開けてみれば…… みんなが諦め、忘れかけていた頃にアルトロンガンダム(EW)がプレバンでリリース。 その一年後にヘビーアームズ改(EW)。またもプレバン。 さらに一年経ってから、サンドロック改(EW)。もちろんプレバン…… 長くなりましたが、レビューに移ります。 キットは毎度のことながら素組みに最低限の墨入れ、付属シールによる仕上げです。 サンドロック(EW)では、わりと複雑なカラーリングを細かいパーツ割りで再現していたわけですが、バリエキットである改(EW)でも当然そのパーツ構成はほぼ一緒。 結果、腰周りや足首周りで意味のないパーツ分割がちらほら。 そのくせ新規に1パーツになった腰サイドアーマーの色分けはシール頼りという……なんともプレバンクオリティ。 登場時に装備していた対ビームコーティングが施された新装備。 装着時には肩のセンサー(?)が余剰に、頭部とバックパックも一旦取り外す必要があります。 細身だった素体状態から一気に着膨れしてすごいボリューム。 この姿で現れたときには「おおっ!!」と思ったけれど、わりと早い段階でパージされたので拍子抜けした覚えがある。 旧1/100キットでは不織布で再現されていましたが、今回は分割タイプの軟質プラパーツ。 肩装甲から下がる3枚、左右合わせて六枚がある程度可動。 皺の感じとか、裾の造形、破れなど、不織布よりは断然いい質感。 ただ個人的には思ったより短い(とくに後ろから見ると足が丸出し)のと、バックパックが浮いた感じになるのが不満点。 武装等 適当にアクションカット 以上、“MG ガンダムサンドロック改(EW)” でした。
さすが基本構造が六年前のキット、肩間接の引き出しのおかげで腕周りこそよく動く印象ですが、腹部や足首の可動は現在とは較べるべくもなく、とくに足首は大振りのアンクルアーマーのせいもあってあまり動かせず、接地性はお世辞にもいいとはいえません。 陸上で敵をバッサバッサ斬ってる印象の機体なのになぁ…… なにはともあれ、随分と時間がかかりましたが、これでようやくEWに登場したガンダム5機が揃いました。 しかし、こうなるとどうしてもウイングガンダムゼロ(EW)とほか4機とのフォーマットの違いが気になりますが、現行のMGに新規パーツを付け、さらにパーツに特殊コーティング加工をほどこしたものをプレバンで5桁で売り出すさまを見るに、お上はウイングガンダムゼロ(EW)ver.2.0を出す気はさらさらないようですね。 まぁ、今さらほか4機と同じフォーマットで出されても古臭過ぎてどうにもならないでしょうが。 なんにしても時間が経ち過ぎですよ。 そして発売の順番を間違えた、もしくは発売する機種の選択を間違えたとしか思えません。 なんで、イラストが初出の、設定のみが存在するアーリータイプなんてマイナーな機体を先に一般販売したのか…… 当初の思惑では順次本編登場の機体も一般でリリースしていくつもりだったのでしょうし、ファンも当然そう思ったはず。となれば、来たるべき本命に備えて買い控えが起きる可能性も十分考えられたと思うんですが。 アーリータイプのキットがさほど売れなかったから、本編登場機の一般販売もデスサイズヘルだけに留まってしまった、ってことなんじゃないの? 普通に本編登場機体が一般販売。その後にアーリータイプがプレバンで登場。 この流れなら、たとえ年一のスケジュールでもそれほど不満は出なかったのでは? 商売って難しいね。 実際のところメーカがどんなふうに思ってるのかは知らないけれど。 といったところで今回は終了。 またのご訪問を。
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